NPO向けリサーチ支援「妊娠期・育児期のパートナーシップ実態把握調査」をご紹介

NPO向けリサーチ支援「妊娠期・育児期のパートナーシップ実態把握調査」をご紹介

  • 2020.09.14

今回は「非営利活動組織のマーケティング・リサーチ技術支援」として、認定NPO法人マドレボニータ様(以下、マドレボニータ様)と協働で、「妊娠期・育児期のパートナーシップ実態把握調査」を実施。背景や経緯について、Goodmill事務局の小林健さん、横田理恵子さん、プロボノとして本案件に関わった谷口弘恵さんにお聞きしました。

Q.今回、どのような経緯で調査に至ったのですか?

横田さん:第1弾ではカタリバ様、第2弾ではクロスフィールズ様と半年おきくらいでNPOを支援する調査を実施していました。その後もテーマや支援先のNPOを探す中、女性の働き方や生き方、特に産後うつやワーキングマザーのキャリアなどは社会課題として取り上げられることが多く、リサーチで支援できるのではと着目しました。そこで、「産後を起点とする社会問題の解決」を目指す活動をしておられるマドレボニータ様にご連絡したところ、男性側の視点も含めて実態を把握したいとのことで、今回の調査実施に至りました。

Q.谷口さんがプロボノとして参加しようと思った理由を教えてください。

谷口さん:他部署の社員の方と一緒にお仕事をしていた際に、お誘いを受けたのがきっかけです。私が個人的に障がいを持つ方々の余暇をサポートするボランティア活動に参加していたこともあり、以前からGoodmillに興味があったこと、また今回のテーマが、自分自身が今後迎える危機について考える良い機会にもなりそうだと思い、リサーチャー担当として参加させていただきました。

Q.調査結果としてどのようなことが分かりましたか?

谷口さん:今回の調査レポートには大きく2つのテーマがありました。1つ目は、妊娠から出産・育児期にかけて、男女で行動や意識にどのような差があるか、ということです。どんなところが夫婦間ですれ違ってしまっているのか、相互理解のためにどうしたらいいかを調査しました。結果として、夫婦での会話時間が十分に取れている、家事育児をチームとして機能させることが相手への信頼感、生活満足度につながるということが分かりました。

もう1つは、女性の出産・育児とキャリアとの関係についてです。出産を通して女性のキャリアは大きく次の3つに分かれています。【1.妊娠が分かった時点で退職 2.出産を機に退職3.就業を継続】これらそれぞれのセグメントで、生活満足度などを比較したところ、2の出産前後に退職した方の満足度が低いことが分かりました。そこから不本意な退職を防ぐにはどうしたらいいのかなどを考え、調査レポートで詳しくまとめています。
マドレボニータ様がこれまでに実施された調査や、参考にした先行調査は、女性視点のものがほとんどでした。今回の調査は男女それぞれの視点で回答を集めることで、お互いの視点を比較することができたので、貴重なデータになったのではないかと思います。

Q.調査を通して谷口さん自身が得た気付きはありますか?

谷口さん:先方はとても思いが強い方だったため、知りたいことや仮説がどんどん出てきて、すべてをまとめて着地させるのが大変でしたが、結果として得るものも多く、とてもいい経験になったと思っています。最後のFA(自由記述)設問で「配偶者に対して今思っていること」を聴取したのですが、日頃の愚痴や感謝の気持ちなど、皆さんのお手紙を読んでいるようで面白かったです。ボリュームのある調査だったのに、最後のFAをこんなにしっかり書いていただけたのは、回答しながら自身を振り返り、楽しみながら回答いただけたのではないかなと思います。

Q.今回の調査はマドレボニータ様にとってどのように役に立ったと思いますか?

谷口さん:今回の結果を企業の男性社員に向けたセミナー等で活用したいというお話を伺っています。こういったテーマは感情論になりやすい側面もあるかと思いますが、実際の数字やデータで語ることができるのは大きなメリットだと思います。報告書の中では触れていませんが、親からのサポートや身近なコミュニティといった社会的な要素についてもデータを取っているので、今後も多角的に活用いただけるのではないでしょうか。

Q.Goodmillの活動について、今後の展望を教えてください。

小林さん:今期は、新型コロナウイルスの影響もあり、Goodmillの活動として、何ができるのかを皆で考えているところです。今回のようなプロジェクトベースの取り組みはもちろん、マクロミルに集う人が気軽に参加できるセミナー等もやってみたい…と考えています。またGoodmillの活動を世の中の人にもっと知ってもらえるような取り組みも工夫していきたいですね。

Q.最後に皆さんにお伝えしたいことはありますか?

谷口さん:Goodmillの活動を通じて、通常の案件とは異なる調査課題に取り組むことで、自分の視野が広がりました。今まで関わったことがない方々と一緒に仕事ができたのも新鮮で楽しかったです。普段の職域や役割に関わらず、興味がある人はまず、参加してみていただければと思います!

横田さん:私はマクロミルに入社して10年が経ちますが、NPOの調査に関わる度に改めてリサーチの力で社会を動かすことができるんだと感じます。これは、実案件だけに関わっているとなかなか感じにくくなることだと思います。何かしらマクロミルの事業に興味を持って入社している方ばかりだと思うので、多くの皆さんにGoodmillに参加してもらうことで、改めてリサーチの価値を感じてほしいですね。
小林さん:横田さんと近いのですが、普段ずっと仕事をしていると、「マーケティングリサーチって何の役に立つんだっけ」と実感しにくくなることがあります。ですが、Goodmillでお仕事をすると、NPOの方々の思いに直接触れることができたり、時間をかけて課題について考えることができるので、マーケティングリサーチってこういうことに役に立つんだと実感できる場になると思います。そして何よりも、皆さんに「参加して楽しかった」と言ってもらえるような活動にしていきたいですね!

調査に携わった他メンバーからのコメント

リサーチャー社員:普段接することのないNPOの方々からお話を伺い、産後うつの現状に加え、仕事への姿勢や考え方なども大変勉強になりました。貴重な機会をくださった事務局の皆さんに感謝しております。
セールス&リサーチ社員:私自身が育休期間中にマドレボニータ様のワークショップや、ママボノというプロボノ活動に参加していましたので、今回の参加にあたりご縁を感じました。家事・育児にフォーカスしたレポートは世の中に多くみられますが、生活満足度・幸福度への着目は新鮮で、育児期に働く親として自分自身を振り返る良い機会となりました。
リサーチディレクター社員:社内での企画段階からお客様を交えたミーティング、最終的なご報告会まで一通り参加させていただき、普段の業務ではなかなかできない経験ができました。背景や目的を共通認識として持てていたことで、意志を持って確認・提案ができたかと思います。通常の案件でも、調査背景・目的の理解を深めることで、より価値のあるデータ提供に繋がり、RD自身もやりがいが高まるのではないかと改めて感じました。今後の業務でも、自ら調査に関わる一歩踏み込んだ情報を取に行くことを実践すると共に、社内連携・情報共有を強化できる仕組みも検討していきたいです。

 

Goodmillとは

Goodmillは「リサーチで、世の中をもっと良くできる」という想いから、2018年より推進している当社の社会貢献活動です。「非営利活動組織のマーケティング・リサーチ技術支援」「災害発生時の多面的な支援活動」「社員発信の社会貢献活動」を活動の3本の柱として、社会課題の解決などを支援しています。